ブラジルサッカーの現状

サッカーは多くの国にとってはスポーツの１つですが、ブラジル人にとってサッカーは文化、生活の一部になっています。リーグ戦や重要な国内で行われる国際試合があるたびに、ブラジル人は一家を挙げて観戦に行きます。
　ブラジルのほとんどのファンは、「サッカーができない、サッカーがわからない人はブラジルの大統領になれないです。高い支持率も得られない」と笑っているほどこの国にサッカーは根付いています。彼らにとってのサッカーは最もポピュラーで、ビーチや都市の大通りでも、サッカーをする人がいます。スラム街の子供は裸足で、靴下に紙を詰めてボールを蹴っているそうです。このようなサッカーに対する情熱と愛こそ、ブラジルのスラム街から多くのサッカースターが出てくる理由の１つです。ブラジル人のサッカー熱は、ブラジルサッカーチームを史上最も成功させることとなります。ブラジル代表チームは11958年、1962年、1970年、1994年、2002年に5回も優勝しました。優勝数は世界1位を誇ります。しかし、2002年の日韓ワールドカップを最後にブラジルは優勝していません。2006年には、ベテランとなったチームのスター、ロナウド率いるブラジル代表はベスト８に敗退しました。2010年にもカカ率いるチームは同様にベスト８で敗れました。2014年、ブラジルチームはその国にとっては恥とも言える1対7の衝撃的スコアでブラジル本土でドイツ代表に敗北しました。ブラジルの人々は怒りに燃え、ブラジルの国旗まで焼かれる事態となったそうです。なぜブラジルチームは近年のワールドカップで勝てていないのでしょうか。

私は、三つの理由があると思います。
　第一は選手の個人技術とスタイルです。選手の技術格差も以前よりも小さくなりました。これまでのブラジルは、ロナウドやロナウジーニョのような歴代のスター選手が、技術で相手を圧倒することができていました。私は1998年に生まれたので、ピーク時のロナウドを見たことがないのですが、以前のビデオで彼のプレーを見たことがあります。本当にすべての技術が完璧で素晴らしいものでした。今では、ヨーロッパの選手も次第に経験を積んで、絶えずサッカーのスタイルを学び、ブラジルサッカーとの個人技術の差を縮めています。現在、ブラジルの優れた技術を持つ選手はネイマールだけだと私は思います。他の選手はヨーロッパのサッカースタイルに影響されて、以前のブラジル式のサッカースタイルはもうなくなりました。ブラジルスタイルの継承する選手が減ってきた近年の間に、ヨーロッパ各国の代表チームは着々と強くなりましたがブラジルサッカーは本来の自分たちのスタイルを見失ってしまいました。
　第二はブラジルリーグの水準が徐々に低くなっていることです。今世界で中心になっているリーグは全部ヨーロッパにあります。ヨーロッパ各国のサッカー環境は、南米の各国のそれよりも近代サッカーの発展に適しています。したがって、多くの選手がヨーロッパに行って成長したいと考えるのは当然です。ヨーロッパサッカーのスタイルは、チームプレーを重視します。個人の技術を重視するブラジルとは異なり、若くて優秀な選手はヨーロッパに渡ることを選んでしまうのです。そして自然とヨーロッパのサッカーのスタイルに影響され、プレーも変化していきます。しかし、私は今でもネイマールのプレースタイルが好きです。彼は今世界で唯一ブラジルのサッカーの理念を堅持している選手です。彼は優れた技術を持っているので、ヨーロッパの試合では激しくマークされ、頻繁に相手選手からファウルを受けます。しかし、彼は自分のスタイルを貫いています。このことは、ブラジルサッカーにとっても本当に素晴らしいことだと思います。
　第三はブラジルのスポーツの環境に関する問題です。まず国家として、ヨーロッパと比べて資金に恵まれていません。これは非常に根本的な原因です。ヨーロッパは、各国のリーグの発展に伴い、南米とヨーロッパの経済格差がますます大きくなっています。ヨーロッパのサッカーの発展もより体系的で、前に言ったように南米の優秀選手もヨーロッパに渡ったり、ヨーロッパの一部の国ではブラジルとの多重国籍を持つプレイヤー発掘に力を入れたりしているそうです。ヨーロッパと南米の血を持つ子供たちのサッカーの才能に目をつけたヨーロッパのスカウトやスタッフは、より良いサッカー環境と報酬を保証して、ヨーロッパ代表に招待するようになったそうです。こうしたお金の事情もブラジルサッカーに影響を及ぼしているのだと私は考えます。
　以上が、ブラジルサッカーの歴史と今のブラジルのサッカースタイルに対する考えです。